ワットだけじゃない!
アンコール&近郊のおすすめ遺跡10選

アンコール・ワットがあまりに有名ですが、それ以外にもアンコール遺跡の見どころは多彩。時代や宗教によって変化する遺跡群を見て回ることで、カンボジアの歴史や文化をより深く楽しむことができます。アンコール遺跡群のなかでも特徴ある寺院をピックアップし、さらにはアンコール遺跡と並んで世界遺産に登録される2つのスポットも紹介します。

アンコール・トム

クメール語で「大きな都」を意味するアンコール・トムは、11世紀の初めから建設が始まり、アンコール朝最盛期の王ジャヤヴァルマン7世の時代となる12世紀末頃まで造営が続いた大都城。アンコール・ワットが一つの寺院であるのに対し、こちらは一つの都であり、高さ8m、周囲12㎞の城壁で囲まれた町には、数々の寺院や王宮が立ち並んでいました。

最大の見どころは、正方形の都城の中心点にジャヤヴァルマン7世によって建設されたバイヨン寺院。観世音菩薩の尊顔が刻まれた四面仏塔が林立する仏教寺院ですが、シヴァやヴィシュヌといったヒンドゥー神の彫刻も見られます。観世音菩薩の慈愛に満ちた表情は「クメールの微笑み」とよばれ、大乗仏教に深く帰依したジャヤヴァルマン7世自身をモデルにしたといわれています。

アンコール・トムの中心に立つバイヨン寺院
アンコール・トムの中心に立つバイヨン寺院
「クメールの微笑み」と讃えられる四面仏塔の菩薩像
「クメールの微笑み」と讃えられる四面仏塔の菩薩像
アンコール・トム Angkor Thom

タ・プローム

1186年、ジャヤヴァルマン7世が母の菩提を弔うために建てた僧院。東西約1㎞、南北約650mの広大な敷地には、当時、僧侶や踊り子など1万2640人が住んでいたと碑文に記されています。この寺院の最大の特徴は、熱帯の樹木に覆われた発掘当時のままの姿で保存されているところ。スポアンとよばれる榕樹の根が廃墟となった寺院に絡みつく様はどこか幻想的で、自然の力を実感させられます。

タ・プローム Ta Prohm

プリア・カン

ジャヤヴァルマン7世が1191年に建立した仏教寺院で、父のための菩提寺といわれています。名称は「聖なる剣」を意味し、この地が王が勝利を収めたチャンパ軍との激戦の地であったことに由来しています。

外壁に残る巨大なガルーダ像やリズミカルに踊るアプサラ群像など、ユニークで美しいレリーフが多く残っていることで知られ、王妃をモデルにしたと伝わるデヴァター像はとくに有名。他にはないギリシア神殿風の2階建ての建物も必見です。

珍しい2階建ての建物は図書館だったといわれる
珍しい2階建ての建物は図書館だったといわれる
アナンタに横たわるヴィシュヌ神は人気のモチーフ
アナンタに横たわるヴィシュヌ神は人気のモチーフ
プリア・カン Preah Khan

バンテアイ・スレイ

シェムリアップの北東約40㎞の郊外に位置するヒンドゥー寺院。建造は967年、周囲約400mの小さな寺院ですが、建築、彫刻のいずれにおいてもアンコールで最も美しい寺院のひとつと讃えられています。

硬質な赤色砂岩に深くシャープに彫り込まれた神々の像や植物文様の美しさはまるで芸術作品のよう。なかでも「東洋のモナリザ」と称されるデヴァター像は、のちにフランス文化大臣となる若きアンドレ・マルローが盗掘を試みたことでも知られる、クメール芸術の傑作です。

東洋のモナリザ
東洋のモナリザ
彫りの深い破風彫刻に注目
彫りの深い破風彫刻に注目
バンテアイ・スレイ Banteay Srei

クバール・スピアン

シェムリアップ川の源流の一つであるクバール・スピアン川にある聖域。砂岩の川底に約150mにわたってシヴァ神の象徴であるリンガが無数に刻まれており、「千本リンガの谷」などとよばれています。

建造は11世紀の王、ウダヤディティヤヴァルマン2世によるもので、王は川の水がリンガによって聖なる水に清められ、アンコールの大地に豊穣をもたらすことを祈願したといいます。ほかにも蛇神アナンタに横たわるヴィシュヌ神、聖牛ナンディンに乗るシヴァ神と妻パールヴァーティなど、保存状態のいいレリーフが残っています。

場所はシェムリアップから北東へ約50㎞の深い山中にあり、麓の駐車場から遺跡までは約40分のトレッキングとなります。

クバール・スピアン Kbal Spean

プノン・クーレン

アンコール地方の北側にそびえる高さ400m、幅30㎞ほどの丘陵で、802年にジャヤヴァルマン2世が王に即位したアンコール朝発祥の聖山とされています。山中のシェムリアップ川源流域に2段の滝があり、滝つぼや川底に無数のリンガが彫られており、ヴィシュヌやブラフマーの神像も見られます。

一帯はピクニックスポットとしても人気があり、水遊びをする地元の人々で賑わいます。

プノン・クーレン Phnom Kulen

ベン・メリア

シェムリアップから東へ約50㎞、かつて王国の重要な地方拠点であった大寺院。アンコール・ワットとほぼ同時期に建造され、その規模や構造もよく似ていることから「東のアンコール・ワット」ともよばれています。

この寺院は王朝滅亡後に放棄され、密林に埋もれていったそのままの姿で残されており、瓦礫の間に作られた木道をたどって内部の見学が可能。崩れて苔むした石材の所々に『ラーマーヤナ』の一場面である「火に飛び込むシータ姫」や「乳海攪拌」のレリーフを見ることができます。

また、参道の欄干には長く土中に埋もれていたことで当時のままに保存された非常に美しいナーガ像が1体のみ残されており、往時の壮麗な姿を想像する手がかりとなっています。

崩れた祠堂を樹木が覆う
崩れた祠堂を樹木が覆う
新品のように美しいナーガ像が残る
新品のように美しいナーガ像が残る
ベン・メリア Beng Mealea

ロリュオス遺跡群

シェムリアップから約13㎞東にある、アンコール朝初期の王都「ハリハラーラヤ」の遺構。造営は8世紀末から9世紀頃で、アンコール朝初のピラミッド型寺院である「バコン」、大貯水池に建てられた「ロレイ」など、ヒンドゥー教の神々に捧げられた寺院遺跡を見ることができます。

ロリュオス遺跡群 Roluos Temples

サンボー・プレイクック

シェムリアップとプノンペンの中間の町コンポントムの郊外に残る、プレ・アンコール期を代表する遺跡群。中国の文献で「真臘」と記された初期クメール人の国家チャンラの王都だった場所で、7世紀前半にイーシャナヴァルマン1世によって造営されたといわれています。

 

「空飛ぶ宮殿」として知られるレリーフ
「空飛ぶ宮殿」として知られるレリーフ

かつてイーシャナプラとよばれた王都の遺跡は東西6㎞、南北4㎞の広範囲に点在。ヒンドゥー教の神々を祭ったレンガ造りの祠堂が60基ほど残されています。主な見どころは「プラサット・サンボー」「プラサット・タオ」「プラサット・ジェイポアン」の3寺院で、八角形の祠堂など他のクメール遺跡には見られない建築様式が特徴。レンガの壁に彫られた宙に浮く宮殿のレリーフも珍しいモチーフで有名です。

遺跡は2017年に世界遺産に登録され、注目が高まっています。

サンボー・プレイクック Sambor Prei Kuk

プレア・ヴィヒア

カンボジア北部の山岳地帯、タイとの国境に位置するヒンドゥー寺院遺跡で、2008年にアンコール遺跡に次ぐ国内2件目の世界遺産に登録されています。

創建は9世紀末、アンコール朝の王ヤショヴァルマン1世によるもので、11世紀にスールヤヴァルマン1世が大規模な修復を行ったと伝わっています。山の頂上に向かって伽藍を配置した山岳テラス式の寺院で、一般的な東西軸ではなく、およそ800mの一直線の参道を北から南に登りながら参拝します。

参道には3つの塔門があり、各塔門に残されたレリーフが見どころ。なかでも第一塔門は2000リエル紙幣にも描かれている構造美に注目です。頂上にはシヴァ神を祭る中央祠堂がそびえ、入口の破風には踊るシヴァ神のレリーフが。また、中央祠堂の背後は断崖絶壁となっており、熱帯の木々が鬱蒼と茂るカンボジアの大地を見渡す絶景が広がります。

2000リエル紙幣に描かれる塔門
2000リエル紙幣に描かれる塔門
山の頂上の先には絶景が
山の頂上の先には絶景が
プレア・ヴィヒア Preah Vihear
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