絵本から飛び出したような世界 
プーケット・タウンの街並みを散策

タイを代表するビーチリゾートとして知られるプーケット島。近年は、カラフルな街並みがかわいいという理由で、ビーチから離れたプーケット・タウンも注目されています。プーケット島の歴史を感じる古き良き街で、レトロな街歩きを楽しみましょう。

2023.08.29

国際貿易で栄えた都市

タイ南部に位置するプーケット島は古くから東西交易の重要な中継港で、16~18世紀には錫の採掘で栄えた土地。なかでも貿易の拠点であったプーケット・タウンは、ポルトガルやオランダの商人、中国の福建省からの労働者を中心に賑わっていました。

 

プーケット・タウンの中心部には、旧市街(オールド・タウン)があり、19世紀後半~20世紀前半ごろにペナン島ジョージタウンの街並みを参考にして建てられた、歴史ある建築物が今も残っています。

 

1980年代に錫産業が衰退した後、プーケット島観光の賑わいはビーチ方面へ移りましたが、近年はタイ国内で古い街並みや建築物を訪れる「ノスタルジア・ツーリズム」が人気になったことで、オールド・タウンも注目の観光地となっています。

カラフルなプーケット・タウンを街歩き

プーケット・タウンの魅力は、カラフルなショップハウスが通りいっぱいに立ち並ぶかわいい街並みです。

ショップハウスとは名前の通り、店舗と住居を兼ねた2階建ての建物のことで、間口が狭く、奥に細長い町屋のような造りをしています。建物正面には列柱やアーチ、装飾タイルなどを用いており、東西の建築様式を取り入れた独特のスタイルが特徴です。

 

プーケットではショップハウスを、かつては中国とポルトガルの折衷様式を意味する「シノ・ポルトギース建築」と呼んでいましたが、近年はヨーロッパ各地の影響が見られることから「シノ・ヨーロピアン建築」の方が一般的です。

現在のショップハウスは建設当時の面影を残しつつも、おしゃれなカフェやレストランなどにリノベーションされ、プーケット・タウンならではのカラフルな世界を演出しています。

 

どこを切り取っても幻想的な風景にあふれる街、プーケット・タウンにはノスタルジックな雰囲気漂う観光スポットがたくさんあります。

 

タラン通りを中心にピンク、水色とカラフルな建物が並ぶ。
タラン通りを中心にピンク、水色とカラフルな建物が並ぶ。

プロムテープ時計塔

黄色い壁が青空に映えるプロムテープ時計塔は、オールド・タウンのランドマーク。1914年に警察署として建設されたヨーロッパ調の建物で、中央には時計塔があります。

 

時計が設置されたのは完成から62年後の1976年。時計を積んだ船がペナンから来る途中で沈没したため、長らく時計がないままプーケットの街を見守っていました。

内部には博物館があり、街の歴史を学ぶことができます。

 

プロムテープ時計塔 The Phrom Thep Clock Tower
Phang-Nga Rd, T. Taland Yai A. Muang, Phuket

ザ・メモリー・アット・オン・オン・ホテル

旧市街のパンガー通り中心にあるザ・メモリー・アット・オン・オン・ホテルは、1927年に「安安旅社」として開業した歴史あるホテルです。シンメトリックな白亜の建物に中華風の提灯が飾られるなど、シノ・ヨーロピアン様式を象徴する建物の一つとして有名。

 

老朽化が進んでいましたが、2012年のリノベーションにより、クラシックな雰囲気はそのままに快適なステイが楽しめるヘリテージホテルとして人気を集めています。ピピ島を舞台にした映画『ザ・ビーチ』内で、主人公が宿泊したバンコクのバックパッカー用ホテルとして撮影されたことでも有名です。

内部はコロニアル調のアンティーク家具で彩られている。
内部はコロニアル調のアンティーク家具で彩られている。
ザ・メモリー・アット・オン・オン・ホテル The Memory at On On Hotel
19 Phang-Nga Rd, Talad Yai, Muang, Phuket

街中に描かれたウォールアート

オールド・タウンの街並み散策の楽しみといえば、フォトスポットとしても人気のウォールアート。街なかには、今も国民から敬まれる前国王ラマ9世の肖像や生活のひとコマを描いたウォールアートがたくさん点在しています。お気に入りのアートを探して散策してみるのも楽しそうです。

プーケット島ならではの名物グルメ

プーケット料理は、タイ南部ならではの濃い味と豊富な魚介類を使用した料理が特徴です。様々な国の食文化がミックスした、プーケット島ならではのローカルグルメをご紹介します。

ホッケン・ミー

 

ホッケン・ミーは漢字で書くと福建麺。中国、福建省から伝わった麺料理を地元風にアレンジした焼きそばのような料理です。シンガポールやマレーシアにも同じくホッケン・ミーがありますが、味付けや見た目は地域によって様々。プーケット風は、海老などの魚介と太めの中華麺を強火で炒め、醤油やオイスターソースのスープで味付けした焼きそばとラーメンの中間のようなスタイル。さらに、半熟卵をトッピングするのが特徴です。

ホッケン・ミー Hokkien Mee

ムーホン

 

豚バラ肉を、醤油、八角やシナモンなどを合わせた五香粉でじっくりと煮込んだ、豚の角煮に似た家庭料理。ホッケン・ミーと同じく中国から伝わった料理の一つですが、ヤシ砂糖やタイの黒醤油シーユーダム、各種スパイスなどを用いるのがプーケット流。甘辛い味はご飯との相性もぴったりです。

ムーホン Mhoo Hong

ロティ&マッサマンカレー

 

ロティは薄く伸ばした小麦粉の生地を折りたたんで焼いたパンの一種で、タイ南部やマレーシアでポピュラーな料理です。ピーナッツやココナッツミルクを用いた甘口のマッサマンカレーにつけて食べるのが定番で、プーケットでは朝食メニューとして親しまれています。

ロティ&マッサマンカレー Roti&Kaeng Matsaman
タイ
BACK TO TOP