大自然に癒やされたい!
ラオス南部の周遊プランと世界遺産ワット・プー

ラオス南部はルアンパバーンや首都のヴィエンチャンとはまた異なった雰囲気が魅力。世界遺産のワット・プーに足を運びつつ、シーパンドーンやボーラウェン高原でまったり。各地に点在する滝を巡ったりコーヒーを堪能したり……さまざまな楽しみ方をご紹介していきましょう!

2025.02.04

南部の旅はパークセーから!タイから国境を抜けるルートもあり

ラオス南部、おもなエリアの交通手段と所要時間
ラオス南部、おもなエリアの交通手段と所要時間

首都ヴィエンチャンからは飛行機で約1時間30分。パークセーはラオス南部における観光の中心であり起点です。タイのウボンラーチャーターニーからも国際バスを利用して約3時間で到着するほか、カンボジアの国境にも近いので、周辺国を含む東南アジアの周遊にもおすすめのエリアなのです。

 

南部を巡るなら最低でも3~4日間は欲しいところ。パークセー自体はそれほど見どころが多い町ではありませんが、周辺に世界遺産の遺跡や滝などさまざまな観光スポットが点在しています。現地でオプショナルツアーに参加するのもよいですし、グループでの旅行なら車をチャーターするほうがお得なことも。予算や旅の日数との兼ね合いで決めましょう。

パークセーからおもな町へのアクセスは以下のとおり。

●パークセー→チャンパーサック

バスで片道約2時間。チャンパーサックから世界遺産のワット・プーへはトゥクトゥクで約20分。

●パークセー→シーパンドーンの島々 片道約3時間

パークセーからナーカサンまで片道約2時間30分。ナーカサンからメインの島であるコーン島までボートで約20分、デット島までボートで約10分。

活気あふれる市場。お土産になりそうな織物なども売っています。
活気あふれる市場。お土産になりそうな織物なども売っています。
トーストとコーヒーのシンプルな朝食もクオリティが高く美味!
トーストとコーヒーのシンプルな朝食もクオリティが高く美味!

パークセーでは、ワット・ルアンやワット・プーサラオといった寺院のほか、ローカルの生活が垣間見られるダーオフアン市場を訪れてみましょう。町の中心から市場までは徒歩で約30分、トゥクトゥクを利用すれば約10分。地元の人々が多く訪れる食料品売り場には魚類や野菜などがずらりと並びます。町の中心からは少し離れますが、市場の周辺にもホテルがあるので、少しゆったりとした滞在を楽しむならこの辺りに宿をとるのもいいかもしれません。

また、ラオス南部のボーラウェン高原をはじめとするエリアはコーヒーの一大産地。パークセーには、おいしいコーヒーがいただけるカフェが多数あるので、カフェ巡りにもぴったりです。

バスやボートでいざ世界遺産のチャンパーサックへ

ちょっぴり不安な木製ボートですが、慣れれば貴重な経験に!大きな荷物を載せても◎。
ちょっぴり不安な木製ボートですが、慣れれば貴重な経験に!大きな荷物を載せても◎。

南部を訪れるなら見逃せないのがワット・プー。2001年に「チャンパーサックの文化的景観にあるワット・プーおよび関連古代集落群」として世界遺産に登録されたラオスのクメール遺跡です。ここを訪れるにはバスや車でパークセー市内を出発し、途中でボートを利用して対岸へ。そこからトゥクトゥクで約20分という道のりです。トゥクトゥクに揺られるとしだいに眼前には田園風景が広がり、のどかで穏やかな雰囲気に。起点となるチャンパーサック周辺にもいくつか宿があるので、泊まりがけで行くことも可能です。

遺跡内を走るシャトルバス。本数は少ないので場合によっては待つことも。
遺跡内を走るシャトルバス。本数は少ないので場合によっては待つことも。

もし日帰りで行くという場合、トゥクトゥクに帰りの時間を伝えて待ってもらうようにしましょう。トゥクトゥクの料金は往復で交渉したほうが割安になることも多いです。敷地内には駐車場スペースがあるので、待ち合わせはここで。入口付近にはトイレやショップ、カフェがあるので遺跡見学の前後にはゆっくりひと休みしていきましょう。また、遺跡内は無料のシャトルバスが走っているので、暑い日には体力を奪われないように利用するのが賢明です。

 

ワット・プーの歴史とおもな見どころを知ろう

本殿側から見える参道や宮殿。その奥に聖池を望むことができます。
本殿側から見える参道や宮殿。その奥に聖池を望むことができます。

ワット・プーはヒンドゥー教の寺院。10~12世紀に現在のラオス南部を支配していたクメール族によって築かれたとされています。入口から遺跡公園内に入ると、目の前には「バライ」と呼ばれる大きな聖池が広がり、その池を横目に見ながら徒歩またはシャトルバスで参道へと向かいます。参道の両端には男性器をかたどった「リンガ」の石柱がずらりと並びますが、これは子孫繁栄を願うモチーフとされています。

「女の宮殿」とも呼ばれる南宮殿。壁面の飾り戸上部に刻まれているのはシヴァ神のレリーフ。
「女の宮殿」とも呼ばれる南宮殿。壁面の飾り戸上部に刻まれているのはシヴァ神のレリーフ。

参道を挟むようにして建つのは南宮殿と北宮殿、そして参道を歩いていくと南宮殿の奥にはナンディン宮殿が見えます。「ナンディン」とはシヴァ神の乗り物である牛を指すのだそう。ナンディン宮殿はカンボジアにある世界遺産アンコール・ワットへと続く古代道路の起点だったといわれています。宮殿の面影はすでにないものの、貴重な遺跡だということがわかります。

本殿には入口が3ヵ所。奥の祠堂は7世紀頃のチャム様式だといわれています。
本殿には入口が3ヵ所。奥の祠堂は7世紀頃のチャム様式だといわれています。
ヒンドゥー教の神々のレリーフがいたるところに刻まれています。
ヒンドゥー教の神々のレリーフがいたるところに刻まれています。

宮殿を背にして参道を進むと、石段が見えてきます。ここは傾斜があり少し歩きづらいので、歩き慣れたスニーカーなどで行くのがベター。石段を上りきると本殿が現れます。ここ本殿や石段を上る途中にあるストゥーパのテラスからの眺めは必見!聖池や遺跡公園、田園風景がパノラマのように広がり、写真を収めたくなる絶景スポットです。

アンコール様式の本殿中央には大小4体の仏像が安置されており、チャンパーサック王朝時代に奉納されたものだそう。本殿の裏手には聖泉、また本殿から100メートルほど歩いたところには、ゾウやワニの彫刻などが彫られた巨大な岩が転がっているので、こちらもお見逃しなく。

まだまだたくさん!ラオス南部の魅力的な観光スポット

コーンパペンの滝。雨季になると水量が威力を増し、大迫力!
コーンパペンの滝。雨季になると水量が威力を増し、大迫力!

日程にもう少し余裕がある人や長期の旅を計画している人は、ぜひシーパンドーンにも訪れてみてほしいところ。カンボジアと国境を接するラオス最南部となるメコン川には、数千もの島々が点在し、それがシーパン(=4000)、ドーン(=島)と呼ばれる所以です。主要な島はコーン島とデット島というふたつの島。パークセーからはナーカサンという町を経由し、ナーカサンからボートに乗って向かいます。ボートの旅はスリル満点でまるでアドベンチャーさながら!

テラスがある部屋に泊まってハンモックに揺られるのが醍醐味!
テラスがある部屋に泊まってハンモックに揺られるのが醍醐味!

どちらの島にも手軽なゲストハウスが多く、長期滞在をする旅行者の姿が見受けられます。川に面したバルコニー付きの部屋に泊まってのんびりするのがいいでしょう。宿ではさまざまなオプショナルツアーの予約を受け付けていますが、せっかくなら滝幅世界一のコーンパペンの滝に行ってみるのがおすすめ。ナーカサンまで戻ってバイクタクシーやトゥクトゥクで約20分。滝の周辺は公園になっていて、休日になるとここで過ごす地元の人々も多いのです。

 

タート・ファーンの滝。ふたつの川から落ちるさまは必見!
タート・ファーンの滝。ふたつの川から落ちるさまは必見!

また、ボーラウェン高原に点在する滝巡りもラオス南部の見どころのひとつ。約200メートルの落差があるタート・ファーンの滝や地元の人々にも人気のタート・ニュアンの滝など大小さまざまな滝を間近で見ることができます。高原周辺はコーヒーやお茶の産地としても名高いので、パークソーンという町に立ち寄ってお土産探しもしてくださいね。

公共交通機関では行きづらいところも多い南部ですが、車をチャーターしたり現地のオプショナルツアーに参加すれば一度に複数の見どころを回れるのもよいポイント。リピーターやひと味違うラオス観光を求める人にはぴったりのラオス南部の魅力を満喫してください!

文・写真:水野千尋

@mizuno.chihiro1120

 

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