テンブロン地区の 伝統料理
「バンブーチキンとバンブーライス」
ブルネイ・ムアラ地区、トゥトン地区、ベライト地区、そしてテンブロン地区の4地域に分けられるブルネイは、それぞれにご当地グルメがあります。
飛び地のテンブロンには、イバン族という元首狩族として知られる民族が現在も多く住んでいて、彼らの伝統料理「バンブーチキンとバンブーライス」がご当地グルメと言えるでしょう。
今回は、こちらのバンブーチキン・ライスがどのように作られるのか紹介します。バンダルスリブガワン市内では出会えない、テンブロンのグルメです。
材料・作り方はとってもシンプル
バンブーチキンは、チキン、生姜、ニンニク、塩とタマリンドを水でふやかした調味料を使います。日本では馴染みのないタマリンドですが、酸味のあるフルーツで、日本でいう梅干しに似ているかもしれません。
またバンブーライスの材料は、一晩水につけた餅米とココナッツミルク、そして水ととてもシンプルな料理です。
使用する竹は、若くてみずみずしいものを選ぶのがポイント。若竹の方が加熱の際に均等に火が通るそうです。
使う量は全て目分量で!
材料を混ぜたらそれぞれを竹の中に入れていきます。バンブーチキンの材料は、竹に入れる前に全てを混ぜて味を馴染ませます。
材料の分量は、実は全て目分量。みんな作り慣れているから大体の加減がわかるそうです。
うまく混ざったらいよいよ竹に詰めていきます。
調理器具は全て自然のもので
バンブーライスはココナッツミルクで炊くことで、独特のまろやかな味と香りが楽しめます。水とココナッツミルクの量も全て絶妙なさじ加減で入れていきます。そしてライスとチキンを詰めたら、蓋の代わりに葉っぱを使用します。
パンダンと呼ばれる細長い葉は、車の芳香剤や、スイーツの着色料としても使用されるブルネイの生活では欠かせない植物です。バンブーチキン・ライスの料理でもパンダンの葉を束にし、竹の口がしっかり塞がるように蓋をします。
こうすることで、炊いている間にパンダンの香りがチキンやお米にも行き届き、出来上がるとパンダンの香りがフワッと溢れます。
焼き時間はゆっくり時間をかけて
準備ができたら火にかけていきます。加熱時間は30分から1時間ほど。弱火でじっくり全部の面に火がかかるよう、向きを変えながら調理していきます。この間、蓋をした葉は取り外さず、竹の焼き加減だけで火の通りを確認します。
そして竹の表面が茶色くなってきたら完成。バンブーライスは黒く焦げた表面を剥がし、竹の内側の皮でお米が包まれたままをナイフで切って盛り付けます。
いよいよ完成!気になる味は?
バンブーチキンを食べるは、表面の竹の皮を手で剥きいただきます。そして気になる味ですが、どちらもシンプルな味付けなだけに、竹やココナッツ、そしてパンダンの香りで風味豊かな味わいとなっています。バンブーチキンはチキンがほろほろと崩れるくらい柔らかく、またタマリンドとチキンの旨味が凝縮されて、癖になる味です。
バンブーチキン・ライスは、結婚式や年に一度の収穫祭、ガワイのお祭りなどでも振る舞われる伝統料理です。
テンブロンで味わえる、伝統の味をぜひ試してみてくださいね。
文・写真 : 株式会社ワールドコンパス 亀井沙織