バンコクの注目エリア
「新生」チャオプラヤー川沿いを巡る

近年、再開発が進み、観光スポットやラグジュアリーホテルも増えたバンコクのチャオプラヤー川沿い。古くからある運河を巡るボートツアーも興味深いし、新しい商業施設やホテルでは、タイの新しい息吹きを感じることができます。渋滞に煩わされることなく、水の上から訪れるバンコクを楽しんでみましょう。

 

2023.03.31

ロングテイルボートで運河へと分け入るツアー

タクシン橋の南側から眺めるチャオプラヤー川。年々、高層ビルが増えていく。
タクシン橋の南側から眺めるチャオプラヤー川。年々、高層ビルが増えていく。

チャオプラヤー川は、タイ北部を水源とし、バンコクを経てタイランド湾に流れ込む総延長370キロ余りの大河。かつて、チャオプラヤー川の本流からは支流や運河が網の目のように町中に張り巡らされており、バンコクの街は、物流の大動脈であったこの川を中心にして発展してきました。

川沿いには、高速ボート「チャオプラヤー・エクスプレス」が運行し、市内は渋滞が激しいこともあって、市民にとって通勤や移動の大切な『足』となっています。観光客にとっても、王宮やワット・アルンなどの主だった観光地を訪れる際には、「チャオプラヤー・エクスプレス」での移動をうまく取り入れるとスムーズに移動ができそうです。

ロングテイルボートは、事前にツアーに申し込むか、川沿いのホテルに宿泊している場合は、ホテルのコンシェルジュ経由で予約するのがおすすめ。
ロングテイルボートは、事前にツアーに申し込むか、川沿いのホテルに宿泊している場合は、ホテルのコンシェルジュ経由で予約するのがおすすめ。

近年、人気が高いのは、細長いロングテイルボートに乗って出かけるバンコクヤイ地区への運河ツアー。バンコクヤイ地区は、チャオプラヤー川の西側に広がるエリアで、18世紀にトンブリー王朝が置かれた場所。川の東側とは少し異なるノスタルジックな雰囲気が未だに残ります。

10名ほどが乗れる細長いロングテイルボートは、細い運河にも入っていけるので、かつてのバンコクの水辺の暮らしぶりを間近にできる面白さがあります。

話題の寺院やマーケットに水上からアクセス

ワット・カンラヤーナミットは、広大な寺院。高さ16mの巨大な仏像でも知られる。
ワット・カンラヤーナミットは、広大な寺院。高さ16mの巨大な仏像でも知られる。

サトーン船着場方面からバンコクヤイ運河へと入るのは、ワット・カンラヤーナミットがある水門から。カンラヤーナミットとは、「真の友」という意味で、良縁に恵まれる、旅の安全にご利益があるとされる寺院です。

 

神聖かつフォトジェニックな「ワット・パークナム・パーシーチャルーン」は、観光客にも人気。仏伝図は、釈迦の一生を伝える絵図。
神聖かつフォトジェニックな「ワット・パークナム・パーシーチャルーン」は、観光客にも人気。仏伝図は、釈迦の一生を伝える絵図。

左右の家々を眺めながら、しばらくするとたどり着くのが、「ワット・パークナム・パーシーチャルーン」。桟橋から寺院の敷地内に上がり、本棟の最上階まで階段を上がると、ガラス製の仏塔の上に、まるでアートのような仏伝図の天井画が目に飛び込んできます。

2021年には、瞑想の姿勢としては世界で最も高いとされる69mの黄金の仏像も完成。
2021年には、瞑想の姿勢としては世界で最も高いとされる69mの黄金の仏像も完成。
ワット・パークナム (正式名称 : ワット・パークナム・パーシーチャルーン) Wat Paknam Phasicharoen
300 Ratchamongkhon Prasat Alley, Pak Khlong Phasi Charoen, Phasi Charoen, Bangkok 10160
クローン・バーン・ルアンは、木造の家々が立ち並ぶ水上マーケット。
クローン・バーン・ルアンは、木造の家々が立ち並ぶ水上マーケット。

「クローン・バーン・ルアン」は、運河沿いの散歩道のような水上マーケット。昔ながらのタイ家屋が多く立ち並ぶこのあたりは、トンブリー王朝が開かれた時代に歴史を遡る古いコミュニティです。土産物店やローカルな食堂、アーティスト・ハウス(バーン・シラピン)などが川添いに並び、しばし、のんびりと歩いてみたくなります。

手作りのクラフトやアート作品を扱うショップも並ぶ。
手作りのクラフトやアート作品を扱うショップも並ぶ。
ロングテイルボートからは、水辺の暮らしぶりを間近に見られる。
ロングテイルボートからは、水辺の暮らしぶりを間近に見られる。
歴代の御座船を始め、前国王即位60周年を祝うパレードで使用された船も展示。
歴代の御座船を始め、前国王即位60周年を祝うパレードで使用された船も展示。

ボートで、運河から訪れるとより雰囲気が楽しめるのが「王室御座船博物館」。 国立博物館で、実際にパレードでも使用された国王専用のきらびやかな御座船を含め8隻の王室御座船が展示されています。間近で見る御座船は、金箔や漆塗りの細工がなんとも見事。水の都バンコクならではのロイヤルバージは、なんともエキゾティックです。

「ワット・カンラヤーナミット」からはバンコクヤイ運河をぐるりと巡って、3時間ほど。ロングテイルボートに乗り降りしながらの小さな船旅は、飽きることがありません。

新しいホテルで、新しいリバーサイドを満喫

チャオプラヤー川沿いには、「マンダリンオエリエンタルバンコク」や「ペニンシュラバンコク」などのラグジュアリーホテルがあり、船で向こう岸に渡るスパや川を眺めるレストランなどが人気です。デュシット地区には、個性的なランドスケープデザインで知られるビル・ベンスリー氏が手がけ、アンティークが博物館のように飾られている「ザ・サイアム」も川沿いにあり、タイ好きにつとに好まれています。

川沿いのタイ料理レストラン「プラナコーン」は、夜もしっとりとしたいい雰囲気。
川沿いのタイ料理レストラン「プラナコーン」は、夜もしっとりとしたいい雰囲気。

2020年にサトーン地区のチャルンクルン通り添いにオープンしたのが、「カペラ・バンコク」。すべての客室がリバービューで、ジェットバスがついたプールを備えるヴィラもあります。プライベート感を重要視した、ハイエンドなホテルです。

イタリアンレストラン「リヴァ・デル・フィウメ」は、テラス席も人気。
イタリアンレストラン「リヴァ・デル・フィウメ」は、テラス席も人気。

「カペラ・バンコク」に隣接する場所に、やはり2020年に開業したのが「フォーシーズンズホテル・バンコク・アット・チャオプラヤー・リバー」。川と融合するようなランドスケープデザインで、都会にいながらリゾート気分を満喫できます。メインダイニング「リヴァ・デル・フィウメ」で、川を眺めながらいただく朝食は、ウェルネス志向の美味しさ。

 

バンコクの歴史とともに変わってきたチャオプラヤー川。その新時代を実感できるリバーサイドでの滞在を楽しんでみたいものです。

文・写真 : 坪田三千代 (Michiyo Tsubota)

タイ
BACK TO TOP