食の町イポーで、朝から晩までごはん巡り
クアラルンプールから高速列車で2時間半ほど北へ向かうと、マレーシア屈指の食の町、イポーに到着します。コロニアル様式の建物、古びた看板の店、迷路のような狭い路地など、まるでタイムスリップしたかのような昔ながらの町。中心地は、中国系マレーシア人が営む中華系の料理店がひしめきあっています。
イポーのキンタ川渓谷。ここは19世紀末から20世紀初めにかけて錫の発掘地でした。その影響で急激な経済発展を遂げたイポー。閉山後はゆるやかな成長にとどまり、現在は昔ながらの町並みが残るのどかな場所です。
ところが、最近は国内外の観光客が訪れる町として有名に。人気の理由は、イポーごはん。マレーシアの中華系グルメの宝庫で、点心、ゆでチキンなど、日本人も食べやすい味が並びます。コンパクトな町なので、店の移動に時間がからず、短期間でいろんな料理が楽しめるのもうれしいポイント。そこで今回は、イポーで1日ごはん巡りの旅を紹介します。
朝は、点心
![人気店「Foh San」はニュータウン(新市街)にあり、朝7時から営業。近くの「Ming Gourt」もおいしい。](https://travel.asean.or.jp/wp-content/uploads/2024/03/ph02_ipoh-scaled.jpg)
イポーには、中国の広東をルーツにもつ中国系マレーシア人が多く暮らしています。舌の肥えた彼らが納得する点心は絶品。肉汁たっぷりの小籠包、透けた皮が美しい海老蒸し餃子、米粉のやわらかい皮で豚や海老を包んだ豚腸粉(チーチョンファン)が人気です。
午前のおやつは、豆腐花
![ニュータウンの「Funny Mountain Soya Beancurd」は行列ができる人気店。10時半にオープンし、売り切ったらおしまい。](https://travel.asean.or.jp/wp-content/uploads/2024/03/ph03_ipoh-scaled.jpg)
なめらかな舌触りに、かまずに飲みこめるほどやわらかいヘルシースイーツ。大豆から作る豆乳を固めたもので、甘いシロップをかけてシンプルに食べます。イポーの町を取り囲む石灰岩の山々がろ過することで水が綺麗なイポー。おいしい豆腐花は天然水の恵みです。
昼は、麺
![創業40年の「SSF」のカレーミー・ドライ。スパイスの香り豊かで、唐辛子の辛みはマイルド。ミントの爽やかさが濃厚なカレー味をさっぱりしてくれる。](https://travel.asean.or.jp/wp-content/uploads/2024/03/ph04_ipoh-scaled.jpg)
中国にルーツがあり、イポーを象徴する食文化であるのが多種の麺料理。マレーシアらしいスパイスの効いたカレー麺、鶏ガラや漢方を煮込んだ滋味深いスープ麺、つるっとした餅のような食感の米麺(ホーフン)など、麺そのものもスープの味も驚くほど多彩です。
![「Hui Ji」のフィッシュヘッドヌードル。魚の頭や鶏ガラなど多種の材料を煮込んだ絶品スープで、エバーミルクのまろやかさとトマトの酸味が味の決め手。](https://travel.asean.or.jp/wp-content/uploads/2024/03/ph05_ipoh-scaled.jpg)
![「Just Cook」のガイシーホーフン(要予約)。米で作る平たい麺(ホーフン、クイティオ)はイポー名物。つるつるの舌触りにやわらかい食感。スープは鶏だしであっさり。](https://travel.asean.or.jp/wp-content/uploads/2024/03/ph06_ipoh-scaled.jpg)
午後のおやつは、エッグタルトやプリン
![皮がサクサクでエッグクリームは濃厚。フードコートや菓子専門店で販売していて、イポー駅近くのオールドタウン(旧市街)に店がある。](https://travel.asean.or.jp/wp-content/uploads/2024/03/ph07_ipoh-scaled.jpg)
エッグタルトは、イポーで定番のおやつです。町のいたるところで売られていて、卵に焼き目をつけたポルトガル式、皮がサクサクのクッキータイプの香港式。また、珈琲に合わせてカスタードとよばれるプリンをよく食べます。甘いカヤジャムを包んだパフも人気です。
![イポーのローカル喫茶店の人気メニューがカスタード。「SSF」で食べたカスタードは、立っているのがやっとのやわらかさだった。](https://travel.asean.or.jp/wp-content/uploads/2024/03/ph08_ipoh-scaled.jpg)
![パイ生地の中にココナッツミルクで作ったカヤジャムを詰めたカヤパフ。ニュータウンの「Sin Weng Fai」が人気で、焼き立てを販売。](https://travel.asean.or.jp/wp-content/uploads/2024/03/ph09_ipoh-scaled.jpg)
余談ですが、マレーシア全土で展開するローカル・カフェチェーン「オールドタウン・ホワイトコーヒー」。この店の発祥の地がここイポー。昔から珈琲を飲む習慣のあるイポーは喫茶文化が根付いていて、最近では西洋風のオシャレカフェも増えています。
夜は、ゆでチキンともやし
![ニュータウンに並ぶ有名店が「Lou Wong」と「Ong Kee」。3人以上で食べるなら、半羽(ハーフサイズ)で注文し、もも肉や手羽先など様々な鶏の部位を味わおう。](https://travel.asean.or.jp/wp-content/uploads/2024/03/ph10_ipoh-scaled.jpg)
この料理のために、クアラルンプールから訪れる食通がいるほどの名物。いわゆる各地で食べられているチキンライスですが、イポーのものはうま味の濃いカンポン・チキン(地鶏)を使い、天然水で育ったシャキシャキもやしを合わせるのが特徴。ご飯のかわりに、つるつる滑らかな米麺を合わせるのもおすすめです。
そのほか、凍ったグラスにビールを注ぐスノウビール、歴史ある英国風のバーもあり、夜も楽しめます。暑い気候なので、喫茶店やフードコートに備え付けられた大きな扇風機の風でクールダウンをしつつ、のんびりと楽しみましょう。
文・写真
古川 音 (マレーシアごはんの会)