食の町イポーで、朝から晩までごはん巡り
クアラルンプールから高速列車で2時間半ほど北へ向かうと、マレーシア屈指の食の町、イポーに到着します。コロニアル様式の建物、古びた看板の店、迷路のような狭い路地など、まるでタイムスリップしたかのような昔ながらの町。中心地は、中国系マレーシア人が営む中華系の料理店がひしめきあっています。
イポーのキンタ川渓谷。ここは19世紀末から20世紀初めにかけて錫の発掘地でした。その影響で急激な経済発展を遂げたイポー。閉山後はゆるやかな成長にとどまり、現在は昔ながらの町並みが残るのどかな場所です。
ところが、最近は国内外の観光客が訪れる町として有名に。人気の理由は、イポーごはん。マレーシアの中華系グルメの宝庫で、点心、ゆでチキンなど、日本人も食べやすい味が並びます。コンパクトな町なので、店の移動に時間がからず、短期間でいろんな料理が楽しめるのもうれしいポイント。そこで今回は、イポーで1日ごはん巡りの旅を紹介します。
朝は、点心
イポーには、中国の広東をルーツにもつ中国系マレーシア人が多く暮らしています。舌の肥えた彼らが納得する点心は絶品。肉汁たっぷりの小籠包、透けた皮が美しい海老蒸し餃子、米粉のやわらかい皮で豚や海老を包んだ豚腸粉(チーチョンファン)が人気です。
午前のおやつは、豆腐花
なめらかな舌触りに、かまずに飲みこめるほどやわらかいヘルシースイーツ。大豆から作る豆乳を固めたもので、甘いシロップをかけてシンプルに食べます。イポーの町を取り囲む石灰岩の山々がろ過することで水が綺麗なイポー。おいしい豆腐花は天然水の恵みです。
昼は、麺
中国にルーツがあり、イポーを象徴する食文化であるのが多種の麺料理。マレーシアらしいスパイスの効いたカレー麺、鶏ガラや漢方を煮込んだ滋味深いスープ麺、つるっとした餅のような食感の米麺(ホーフン)など、麺そのものもスープの味も驚くほど多彩です。
午後のおやつは、エッグタルトやプリン
エッグタルトは、イポーで定番のおやつです。町のいたるところで売られていて、卵に焼き目をつけたポルトガル式、皮がサクサクのクッキータイプの香港式。また、珈琲に合わせてカスタードとよばれるプリンをよく食べます。甘いカヤジャムを包んだパフも人気です。
余談ですが、マレーシア全土で展開するローカル・カフェチェーン「オールドタウン・ホワイトコーヒー」。この店の発祥の地がここイポー。昔から珈琲を飲む習慣のあるイポーは喫茶文化が根付いていて、最近では西洋風のオシャレカフェも増えています。
夜は、ゆでチキンともやし
この料理のために、クアラルンプールから訪れる食通がいるほどの名物。いわゆる各地で食べられているチキンライスですが、イポーのものはうま味の濃いカンポン・チキン(地鶏)を使い、天然水で育ったシャキシャキもやしを合わせるのが特徴。ご飯のかわりに、つるつる滑らかな米麺を合わせるのもおすすめです。
そのほか、凍ったグラスにビールを注ぐスノウビール、歴史ある英国風のバーもあり、夜も楽しめます。暑い気候なので、喫茶店やフードコートに備え付けられた大きな扇風機の風でクールダウンをしつつ、のんびりと楽しみましょう。
文・写真
古川 音 (マレーシアごはんの会)