ローカル市場を巡る、マレーシアぐるり旅
モノと人であふれる市場。生活に必要なモノが所狭しと並び、売り買いをするだけでなく、顔なじみ同士が世間話をしたり、食事のために立ち寄ったりと、地域のコミュニティー広場のような場所。その町の暮らしがみえる市場に行ってみましょう。
アロー・スターの「プカン・ラブ」
王国として栄えた歴史をもつケダ州の州都アロー・スター。マハティール元首相の生まれ故郷で、彼が帰省の際に立ち寄ると言われているのが「プカン・ラブ」です。町の中心部にあり、野菜や肉などの生鮮食品から、調味料、珍味、食器、衣類、布、籠などの手工芸品まで300以上のショップがそろっています。とくにマレー系の伝統食が人気で、スパイスで味をつけたふりかけや保存性の高い発酵魚が名物。併設の食堂ではミーゴレンやチキンライスが楽しめます。
コタバルの「シティ・カディジャ・マーケット」
タイ国境に近い東北地方の町コタバルにあり、観光スポットとしても有名な市場。とにかく規模が大きいのが特徴で、魚、肉、野菜、果物、調味料や乾物、子供用のおもちゃに土産物まで充実。見どころは、カラフルな壁に囲まれた吹き抜けの建物内にある野菜売り場。彩り豊かな野菜が並べられた台の上に、店主が座って店番をする、という独特のスタイルで迎えてくれます。ココナッツの香りを効かせた蒸し菓子は小腹が空いたときのおやつにぴったりです。
ペナンの「チョウラスタ・マーケット」
ペナンのジョージタウンにある地元密着型の市場。魚、肉、乾物、ドライフルーツ、スパイスが揃い、なかでも地元産のエビ発酵調味料「ブラチャン」の質のよさは折り紙付き。おもしろいのは市場の名前の由来。“チョウク”にはヒンディー語の“広場”やウルドゥ語の“交差点”という意味があり、その昔、店主の多くがインド移民で、彼らがこの場をそう呼んでいたのが始まりだとか。現在もインド系マレーシア人を含め、多様な民族が訪れています。
クアラルンプールの「チョウキット・マーケット」
クアラルンプールの中心地から電車でたったの4駅。都心のビル街からガラリと雰囲気を変え、地元の暮らしを支えている市場です。魚、肉、果物、野菜、スパイスや乾物まで種類豊富に並んでいます。多品種のバナナ、インパクトのある世界最大級の果物ジャックフルーツ、ジャングルでとれる豆や山積みになって売られているハーブの多様さに、マレーシアの食文化の豊かさを実感。都心のレストランのシェフが仕入れに通う市場でもあります。
クチンの「クニャラン・マーケット」
ボルネオ島サラワク州の州都クチンにある市場。肉、魚、野菜、果物、調味料などが整然と並んでいて、なかでも広いスペースをとっているのが豚肉売り場。市場のある地域には、豚肉好きの華人や先住民族が多く暮らしているため、毎日の食卓に豚肉は必須。頭のてっぺんから足の先まで販売しています。また、上の階にあるフードコートが人気で、買いものが終わったら、サラワク名物の麺「コロミー」を食べてひと休みするのが地元の人の日常です。
文・写真: 古川 音 (Oto Furukawa)