ビエンチャンの巨大露店朝市
タラート・クアディンをめぐる
旅する楽しみのひとつに「市場の見学」があります。
色とりどりの見たこともない食材や生活雑貨に囲まれ、そこに生きる人々の暮らしと素顔を垣間見ながら、ついでに飲み食いする時の充実感。
その土地の魅力をたっぷり味わえる至福のひとときです。
ビエンチャンの中心に大きな朝市がある、ということは以前から聞いていました。地図で確認し、歩いて行けそうな場所にホテルをキープして乗り込んだタラート・クアディンは、予想を上回る大迫力。「タラート」とは市場のこと。一日ではまわりきれず、滞在中は毎朝通うことに。広大な敷地いっぱいの生鮮と食材、その他もろもろ、量も種類もダイナミック。毎日が縁日のごとく、買い物に訪れる大勢の人で賑わっています。
市場へ向かう路地から賑やか
市場へ向かう路地に入ると、すでに露店オンパレードです。生鮮のほか、大小の生きたカエル、見慣れない巨大な川魚、干し肉、焼き魚、鶏の足先だけを揚げたもの、麺、蒸し物に使うバナナの葉、衣類や雑貨、仏具などなど。つい足を止めて見入ってしまい、なかなか前へ進めません。
広大な露天市場のメインスペース
路地が突き当たり、突然バーンと目の前にだだっぴろい敷地が。てんこ盛りの野菜やフルーツ、ほかにもいろいろありそうですが、お店が遠くまで続き過ぎているため全貌が把握できません。
歩きながら特に目を引いたのは、タケノコやキノコといった“山の恵み”の種類と量の多さ。また青菜類やハーブ類も、見たことあるもの・ないもの、山積みで売られていました。
時間が経つにつれ、人がどんどん増えてくるにも関わらず、市場は意外に静かな印象です。派手な客引きの呼び込みや値切り交渉はほぼなし。みなさん淡々と商品を選び、淡々と買っていきます。売る方も忙しいときはそれなりに、ヒマなときはヒマそうに座ったまま。この穏やかな雰囲気がラオスの市場なのかもしれません。
まだまだ続く!建物内のマーケット
露店スペースのほかに、これまた工場ほどの広さがある巨大な屋根付きマーケットが併設されています。そちらでは鍋釜類や食器、家電、日用生活雑貨のほか、調味料や袋入りの食品、そして食肉コーナーがあります。
露店同様、食肉コーナーも質・量とも圧巻。斧で解体しながら、あるいは台に乗っかって手早く精肉する様子は迫力満点。部位ごとに丁寧に仕分けされている様子に食の豊かさを感じます。
市場の一角で、朝食体験
ぶらぶら歩いていると、ビニール袋に入って販売されている麺やお粥を発見。後ろにはイートインコーナーも。市場を行き交う人々を眺めつつ、ローカルグルメを味わうにはピッタリの場所です。麺はやや太めでしたが、味はまさしくカオ・ピヤックセン(ラオスのうどん)。ついでに隣の方のお粥の写真も撮らせていただきました。
このほかテイクアウトできるカオ・チー(もち米に卵液をつけて炭火で焼いたもの)を買って試食。五平餅のような見た目とは違い、味は塩が効いた「卵味焼きおにぎり」でしょうか。あっさりしたいいお味です。
タラート・クアディンの楽しみ方
タラート・クアディンをまわると、豊富な食材から生まれるその料理、食卓を囲む人々の暮らしを想像してワクワクします。市場のスケールの大きさは、テントはおろかパラソル一本立っていない露店市だからこそ、体験できる景色でしょう。
また写真を見ていて後から気づいたのは、シン(ラオスのスカート:官公庁や寺院・オフィスなど、公式の場所では着用を求められる)をまとった女性がほとんどいなかった点です。まさにラオスの「素顔の日常」のなかに身を置いていたのですね。
市場へ行く注意点としては、とにかく早起きして出かけること。露店朝市のピークは朝6時前後から7時半頃まで。7時半を過ぎると次々と撤収が始まります。建物内の市場はそのまま営業を続け、8時を過ぎた頃からクローズしていた衣料品などの店舗がシャッターを開け始めます。
もうひとつの注意点は、場所がやや分かりにくいこと。大通りからタラート・クアディンへ向かう路地の入り口は主に2か所あります。ピークの時間帯なら、大きなビニール袋を下げた大勢の人やバイクなどに必ず行き会いますので、チェックしてみてください。
早朝わずか3時間ほどで、煙のように消えてしまう巨大露店朝市。さてその後はどうなっているのでしょう。日中はまったく別な顔、駐車場に早変わりしていました。なんでも工夫して無駄なく使いこなす、ラオスの知恵とたくましさが感じられます。