キナバル国立公園自然遺産
ボルネオ島北部、マレーシアのサバ州にあるキナバル国立公園には、標高4095メートルのキナバル山がそびえ立ちます。キナバル山の垂直分布は多様です。麓の豊かな湿地林に始まり、山地帯、亜高山帯、さらに山頂近くの低木林には東南アジアの種々の植物が見られ、中でもヒマラヤ、中国、オーストラリア、マレーシア地区特有の汎熱帯植物は多種見受けられます。標高に応じて変化する豊かな植生は見もので、ランやウツボカズラ、ときには世界最大の花として知られるラフレシアに出会えることもあります。
グヌン・ムル国立公園自然遺産
ボルネオ島サラワク州に位置するこの国立公園には、多様な生態系とカルスト地形が見られます。52864ヘクタールの公園には、約3500種の維管束植物が見受けられます。特にヤシ科の種類は豊富で、109種、20属あります。
公園域内の標高2377メートルのカルスト質のグヌン・ムル(ムル山)には、多くの洞窟があり、その長さをつなげると、現在確認されているだけで295キロの長さになります。洞窟には、何百万ものツバメやコウモリが生息しています。また、サラワク・チャンバーという世界最大の洞穴があります。
Photo by Beachmite Photography/Getty Images
マラッカとジョージタウン、マラッカ海峡の古都群文化遺産
マラッカ海峡沿いに位置するふたつの歴史的な町、マラッカとジョージタウンは、500年間にわたり、マラッカ海峡の東洋と西洋の交易と文化交流の地として栄えてきました。
アジアとヨーロッパの影響は、様々な形の複合文化遺産としてふたつの都市に見受けられます。マラッカの建造物、教会、広場や砦は、15世紀初期のマレー人サルタンの時代や、16世紀初頭に始まったポルトガルやオランダによる統治の影響を受けたものです。一方、ペナン島のジョージタウンには18世紀終わりの英国時代に建てられた住居や商館が残っています。
ふたつの町の独特な建築的、文化的な町並みは、他のアジアの国には比類のないものです。
レンゴン渓谷の考古遺産文化遺産
緑豊かなレンゴン渓谷に位置し、2百万年近くにわたる初期人類の生活を伝える考古遺跡です。同一の地域に人類が居住していた記録として最も長い遺跡のひとつであり、またアフリカ大陸以外で最も古い初期人類遺跡といわれています。野外や洞窟の遺跡は旧石器時代に人類が道具を使った証拠を示唆し、いくつかの遺跡からは旧石器、石器、金属器時代の文化的影響を受けた、比較的大きな規模の半定住型の集落があったと考えられています。
ニア国立公園の洞窟群の考古遺跡文化遺産
ボルネオ島の西海岸に位置するニア国立公園の洞窟群は、5万年にも及ぶ熱帯雨林と人間の営みを記録した遺跡として知られています。先史時代の岩の絵画や舟の形をした墓地などの考古学における重要な堆積物は、その時代の生物と人間の生活を描いていて、人間の発達、適応、そして東南アジア内での移住を理解する手がかりとなります。現在でも地域住民は洞窟からグアノ(海鳥由来の化石化した有機質肥料)や貴重な食用の鳥の巣を採取する時には、古代の”必要な分だけ取る”という伝統を心がけています。そして遺跡での発見の数々は古代の人間の初期の移住についての議論に大きく貢献しています。
写真提供: TOURISM MALAYSIA