千年の古都を歩く!
ハノイの歴史スポット
ベトナムの首都ハノイは11世紀に李王朝の都が置かれ、以降800年にわたり諸王朝時代の中心となった歴史ある街。2010年に世界遺産に登録されたタンロン遺跡をはじめ、フランス統治時代の西洋建築など、各時代の遺産が点在しています。
街中にある世界遺産!「タンロン遺跡」
ハノイ中心部のホアンキエム湖からタクシーで10分ほどの場所にある「タンロン遺跡」は、ハノイが“タンロン”と呼ばれた11~18世紀の諸王朝時代の城跡。18.3haの広大な敷地に、堅牢な石造りの城門や楼閣が点在しています。望楼に登って景色を眺めたり、建物の装飾品やベトナムの伝統工芸を展示するギャラリーで美術鑑賞をしたりなど、じっくり時間をかけて楽しみたい見応えアリの観光スポットです。なかでも鮮やかな黄色の建物が目を引く「端門」は、アオザイを着て写真を撮る女性が多い人気の記念撮影ポイント!
敷地内には、1955年に開戦したベトナム戦争時代に軍の作戦司令室として使用された地下壕も。狭い階段を降りて地下に降りると、当時の司令室や会議室に家具や時計、ラジオなどが展示されています。
ホーチミン廟
タンロン遺跡の出口から徒歩10分ほどでアクセスできるのが、「ホーチミン廟」。革命を指揮し、ベトナム建国の父と呼ばれたホーチミン主席の遺体が安置されています。1945年にホーチミン主席が独立宣言を行ったバーディン広場に面しており、総大理石造りの荘厳な建物は、ベトナムの国花である蓮の花をモチーフにしているそうです。
毎日、早朝には衛兵による国旗掲揚式、夜には降納式がおごそかに執り行われ、観光客も見学ができます。
さらにホーチミン廟のすぐそばには、ホーチミン主席が執務を行った大統領府や晩年を過ごした自宅も。自宅跡は「ホーチミンの家」として公開されており、素朴な暮らしぶりが分かる建物や資料が公開されています。
ベトナム最古の大学「文廟」
儒教の開祖、孔子などの学問の神を祀る霊廟として1070年に創建されました。その後、境内に大学が開設され、数多くの学者や政治家を輩出したベトナム最古の大学跡でもあります。孔子像のある大聖殿や、10万ドン紙幣にも描かれている「奎文閣(けいぶんかく)」、科挙(官僚試験)の合格者の名前を刻んだ亀の形をした石碑などを見学できます。中国風建築が美しく、合格祈願のために訪れる学生などで賑わっています。
文廟はホーチミン廟からタクシーで5~10分ほどの場所にあるので、まとめて見学するのがおすすめです。
湖に浮かぶ伝説の寺院「玉山祠(ゴックソン寺)」
ハノイ中心部にあるホアンキエム湖のほとりは、地元の人々の憩いの場所。湖に浮かぶ浮島には、13世紀に創建されたという「玉山祠」が佇んでいます。湖のほとりから赤い橋で渡ることができ、モンゴルによる侵攻を撃退した武将チャン・フン・ダオや、『三国志』で知られる名将・関羽を祀る境内を見学可能です。
見どころは、2mもの大亀の剥製展示。15世紀頃、ホアンキエム湖に棲む大亀が神剣をもたらし中国明軍を撃退したという伝説があるのですが、展示されているのはその伝説の大亀とされ、パワースポットとして人気を集めています。
フランス統治時代に造られた「ハノイ大教会」
「ハノイ大教会」は、ホアンキエム湖のほとりから徒歩5分のニャートー通りにあります。「聖ヨセフ大聖堂」とも呼ばれ、ハノイで最も古い教会として知られています。
フランスの植民地として統治されていた19世紀に建設され、その後に現在のネオゴシック様式に改築。重厚な石造りの双塔が特徴で、ファサードの中央には聖母マリアの彫刻が飾られています。1日2回、内部の見学もでき、美しいステンドグラスなどを鑑賞できます。
教会前の広場は、建物を背景に撮影を楽しむ若者が多数! 車通りも多く、喧噪に包まれています。教会の美しさをゆっくり堪能するなら、カフェやレストランを利用するのがおすすめ。教会の周りに立ち並ぶレストランやカフェでは、店内やテラス席から教会を眺めることができます。夜はライトアップされ、ロマンチックな雰囲気に。時折聞こえてくる鐘の音を聞きながら、ディナーを楽しむのも素敵ですね。
かつての監獄を博物館として公開「ホアロー収容所」
パステルイエローの西洋建築は、ベトナムがフランスにより統治されていた植民地時代に建設されたもの。そのひとつである「ホアロー収容所」は、ハノイ大教会から徒歩10分ほどの場所にあります。
ホアロー収容所は、1899~1954年の間、フランス統治に反対する政治犯を収監する監獄として使用されていました。後のベトナム戦争時代には、アメリカ軍の捕虜の収容所として使われていたといいます。現在はその建物をそのまま利用して、博物館として公開。当時の衣類や食器などの生活用品、実際に使用されていた独房や断頭台などが展示されています。
パリのオペラ座がモデル!「大劇場」
ホアンキエム湖の南側には、フランス人によって建設されたコロニアル建築が数多く残されています。なかでもハノイ最大規模のコロニアル建築といわれているのが「大劇場」。パリのオペラ座をモデルに建設され、1911年に完成したと言われています。現在も演劇やコンサートの上演に使われており、公演の来場者だけが内部の見学をできます。
大劇場は大きなロータリーに面しており、すぐそばにはホテル「ソフィテル レジェンド メトロポール ハノイ」も。仏領時代の1901年に創業し、100年以上の歴史を誇る5つ星ホテルとして世界中から国賓を迎えてきました。コロニアルスタイルの建物が美しく、レストランやカフェは一般客も利用可能なので、歴史スポット巡りのひとつとしておすすめです。
「ベトナム国立歴史博物館」
大劇場のすぐそばにある「ベトナム国立歴史博物館」は、“ハノイで最も美しい”とされるインドシナ様式の建物が特徴。ベトナムの伝統様式とフランス様式が融合し、八角形の楼閣が目印のコロニアル建築で、国立の博物館として公開されています。
1926年に設立された東洋美術の博物館を前身とし、後に国立ベトナム革命博物館を合併。広大な展示スペースには、先史時代から1945年までのベトナムの文化が分かる約20万点もの資料が展示されています。ベトナム陶器のコレクションやチャンパ王国時代の彫刻、革命時代の資料など、見応え満点。時代ごとに展示スペースが分れているので、ベトナムの歴史を知るのにぴったりのミュージアムです。
中国やフランスなどの支配によって、さまざまなカルチャーが流入したハノイの街。街なかの至る所に歴史スポットが点在しているので、お散歩しながら探してみては?