マレーシアらしさ全開の異文化が入り混じる街
寺院もカフェも混在する魅惑のチャイナタウン
マレーシアの首都、クアラルンプールにあるチャイナタウン。世界中にチャイナタウンはありますが、ここならではのユニークさは、多文化が隣り合っていること。マレーシアの三大民族のひとつである中国系の文化が集まる町であり、カフェやショップにはマレー系やインド系の人々の姿も。観光地としても人気で、グルメやアートまでさまざまな体験ができます。
風水のパワーと神々の色彩美が印象的な寺院巡り

中心地ペタリン・ストリートからすこし離れた場所にある寺院。赤を基調にした華やかな装飾がとても見事で、一説によると、美にご利益があるとも。建物に挟まれるように佇む一風変わった立地は、風水に基づいて決めらたといわれています。中国からの移民の心の拠り所として19世紀半ばに建てられ、今もなお多くの人々がお参りに訪れています。

チャイナタウンにヒンドゥー寺院があるのは、多民族国家マレーシアならではの風景。堂々と立つ、高さ22mの門塔には、ヒンドゥー教の神々が228体も彫刻。愛嬌たっぷり、カラフルな姿は圧巻で、およそ7年に1度の頻度で美しく色を修復しているそうです。寺院内には、金と宝石できらびやかに彩られた女神が祀られています。
ミシュランも認めたチャイナタウン・グルメ

ミシュランのビブグルマンにも選ばれた店など、長年地域に根ざし、味にも定評がある飲食店が多いチャイナタウン。伝統的なチキンライスや、地元の人に長く愛される麵料理店、豆乳を使ったスイーツ「豆腐花(タオフファ―)」や漢方ドリンクなど、ローカルフード文化を垣間見ることができます。

さて、路地にある露店にも注目。行列のできる人気店もあります。

豆乳をつかったスイーツ「豆腐花(タオフファ―)」の店。すべすべなめらかな絹ごし豆腐のような食感で、甘いシロップをかけて食べるシンプルなおいしさです。

地元の人に親しまれている漢方ドリンク店。羅漢果を煮出した真っ黒な色が特徴的、喉の不調をやわらげるといわれていて、果物のロンガン入りで素朴な甘み。
SNSで話題! おしゃれカフェでここだけのスイーツ

最近、チャイナタウンで増えているのが、若者が手がけるおしゃれカフェ。伝統菓子に欠かせない緑色のパンダンリーフを使ったパンダン風味のソフトクリームを提供する店もあります。南国アジアの甘い香りと西洋スイーツのコラボが見事!
伝統クラフトをアップデートした個性派ショップ

伝統工芸のバティック生地を使ったファッション店もあります。南国らしいビビッドな色遣いはそのままに、若いデザイナーのセンスが効いたアイテムが並びます。普段使いできるトップスやスカート、かわいい子ども服。バッグやシュシュもあり、お土産にもぴったり。
写真映え確実のアートスポット

思わず写真を撮りたくなる書店。小説、アート、料理本まで幅広いジャンルを取り扱っていて、それらが空間を彩るデザインの一部として並んでいます。

戦前からある古びた建物の壁に、昔のチャイナタウンの様子を絵で表現したアートスポットです。いたずらっ子という意味の「クワイ・チャイ」という名前がついていて、そんな子ども達が遊んでいた町を再現しています。

訪れたときは、ちょうど中秋節の時期で、たくさんの提灯が飾られていました。壁画に描かれているシーンに合わせて実際の椅子やテーブルが置かれた3D空間。まるで過去にトリップしたような気分が味わえます。
お土産探しはここで。伝統工芸から菓子までずらり

チャイナタウン散策で欠かせないスポットが、セントラルマーケット。19世紀に生鮮市場として栄えていた歴史ある場所で、現在はカフェやお土産店が並ぶ複合ショッピング施設に。
ここに最近登場したのが、マレーシアの地方の名物菓子や雑貨を集めたスーパー。マラッカやペナン、コタキナバルなど、現地でしか買えなかったものが、ここに集合しています。
バティック雑貨やピューターなどマレーシア伝統のクラフトから、なまこ石けんや観光地キーホルダーなどバラマキ土産の店も充実。掘り出し物もきっと見つかりますよ。
にぎやかなアーケード街の周りには、中国茶、漢方、菓子などを販売する店がひしめきあっていて、1本路地を入ると、地元の人が普段着で麺をすすっている古びた屋台が並ぶチャイナタウン。いろんな顔を見せてくれるので、何度も足を訪れたくなる場所です。
文・写真
古川 音 (マレーシアごはんの会)




